ボールペンはNG?
年賀状のあて名書き、一言コメントのマナー

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年賀状を出したいけれど、マナーがよくわからない。

年賀状を出すときに、細かな悩みは尽きないですが、その1つに、どんなペンを使って書いたらいいの?という悩みを持つ方も、いるかもしれません。

最近では印刷された年賀はがきが多くなりましたが、手書きで宛名やコメントを書く時は、どんなペンを使ったらよいの?ボールペンでも大丈夫なの?そんな視点で年賀状マナーについて見ていきましょう。

年賀状の移り変わり

もともと新年に行う挨拶回りの代用であることから、古くは毛筆で書かれることが多かった年賀状。1980年代には年賀はがきの裏面に新年を祝うデザイン絵や賀詞(がし)が印刷されるようになりました。

21世紀になると、デジタルカメラが普及したことから、そのカメラで撮った写真入りの年賀状を家庭のパソコンとプリンターで作成・印刷するスタイルが定着しました。 2005年からは、光沢感がありインクジェットプリンターの印刷に適したインクジェット写真用年賀はがきが発行されるようになり、年賀状も時代と共に少しずつ変遷しています。

また、近年では、写真屋さん、コンビニ、ネット印刷などの専門業者により、写真がよりきれいに見える専用の光沢・半光沢面の年賀状も増えてきています。

年賀状にボールペンは使っていいの?宛名書き編

さて、絵や写真が家庭でも印刷できる時代になった反面、表面の宛名や、裏面の近況などを手書きで書く文化は残りました。印刷された文字のみであると事務的な感じがしますよね。 そこで、1つ疑問になるのが、どんなペンを使って、年賀状書くのがいいか、ということです。普段使いのボールペンでもいいの?それともフォーマルな筆記用具である必要があるの?使う筆記用具によっても印象が変わってきます。

まずは宛名書きについて、いくつかの筆記用具の特徴を機能とマナーの面から考察してみます。

・毛筆
毛筆で書こうとすると、書道の心得が大切ですね。それなりの道具も必要ですし、手間もかかります。一枚一枚時間をかけてしっかり年賀状を書きたいという人は、毛筆を使って書くのがいいかもしれません。受け取った側にもきっと心がこもっている年賀状だと感じてもらえることでしょう。
・筆ペン
毛筆よりは、技術的にも道具としても、より簡単に、そして同じような出来映えが期待できます。普段使い慣れていないので、硬筆と比べれば難易度は高いですが、毛筆に比べれば少しの練習で慣れることができるでしょう。
・万年筆
筆ペンは難しそうだし、うまく書く自信がないという方は、万年筆がいいかもしれません。 硬筆の中では、文字に味がありますし、事務用品ではない、フォーマルなイメージがあります。
・サインペン
出来映えとしても、ボールペンよりは太字になり、万年筆に近いものがあると思われます。 毛筆、筆ペンや万年筆を普段使うことの少ない人は、サインペンが無難かと思われます。
・ボールペン
先にも述べたように礼状や慶弔の手紙などのかしこまった手紙には、基本的にボールペンは使わない方が良いとされています。年賀状もそれに含まれるかと思います。 また、ボールペンは事務用の筆記用具だという認識を持っている人はまだまだ多くおりますので、目上の人へ年賀状を書くときには、ボールペンは避けた方が良いでしょう。

もちろんボールペンで書くこと自体が否定されているわけではありません。全てパソコンで作っただけのものより、ボールペンでも手書きで書かれたものの方が好まれるでしょう。大切なのは、相手に対する思いやりや気持ちが文字を通して伝わるかどうかという点です。

ボールペンより、毛筆や筆ペンを使用する方が好まれやすい、ということに変わりはありません。しかし、慣れないペンを使うよりボールペンの方が気持ちを伝えやすいというのであれば、この意味では、ボールペンで書いても問題はありません。

そして、年賀状についてのペンの慣習も時代と共に変わってきています。友達や家族など、お互い気にしない関係ならボールペンで書いても問題はないでしょう。

・印刷
家庭用のプリンターが普及している現代、宛名書きを印刷されている方も多いと思います。 プリンターの出始めの頃はどうかわかりませんが、今や宛名のプリンター印刷がマナー違反であるという認識はありませんので、字や名前間違いなどの失礼にならないためにも確実でいいかと思います。

フォントとしては、細い書体はふさわしくないと思われます。明朝体やゴシック体でもよいですが、楷書体や、毛筆のフォントがあればそれが好ましいかと思われます。ただし、横書きはマナー違反ですので注意してください。

ボールペンは使っていいの?一言コメント編

裏のデザイン面の空いているところへ書く、一言コメントを手書きで書く際はどうでしょうか。裏面としては、普通紙、インクジェット用紙、インクジェット写真用紙、そして専門業者の写真面、といろいろあり、種類によって変わってきます。こちらについても、筆記具ごとに述べたいと思います。

・毛筆
宛名同様、とても丁寧でよい印象を与えると思われます。普通紙や、インクジェット用紙にも問題なく書けます。
ただし、インクジェット写真用年賀はがきや、ネット印刷その他の専門業者で扱っているような写真印刷の光沢・半光沢面の年賀はがきですと、墨がはじかれて失敗してしまうケースがあり、難易度は高いと思われます。普通紙や、インクジェット用紙に限定したほうがよいでしょう。
・筆ペン
毛筆と同様、やはり墨インクと写真面などの紙質との特性により、失敗するケースがあると思われます。こちらも普通紙や、インクジェット用紙に限定したほうがよいでしょう。
・万年筆
インクとしては、写真印刷の光沢・半光沢面には乗るかと思いますが、ペン先が硬いため写真印刷の表面を傷つける可能性があります。普通紙や、インクジェット用紙に限定したほうがよいかと思います。
・サインペン
出来映えとしても、ボールペンよりは太字になり、またペン先がフェルトなどの柔らかいものですので、写真印刷の光沢面にももっとも相性がよいと思われます。
・ボールペン
マナーの面において、宛名書きのときほどは気にする必要はないと思われます。年賀状のデザインによっては、狭い範囲に細かく書かないといけない場合もあるため、慣れたペンを使うのもよいでしょう。
・印刷
一言コメントも印刷してしまうのは味気ないですね。もちろん一人一人コメントを変えて印刷するのは結構手間ですが、その思いがあまり伝わらないと思われます。

心のこもった一言コメントを

若い人たちを中心に、昨今では、年始の挨拶をメールやSNSでのやり取りで済ますことも多くなってきています。年賀状が、もともと直接、挨拶回りすることを省略する書状であったことから、技術の進歩によって、新しいものにとって代わられることは当然のことであるとも言えます。

ただし、年賀状はやはり文化的側面があり、また、目上の方への新年の挨拶にはまだまだ必要であると思われます。とはいっても、マナーが難しい、そこまで手間はかけられない、そんな方にはネット印刷がおススメです。

面倒な作業やデザインはネット印刷にまかせて、届ける相手には、気持ちのこもった一言コメントを書きましょう。

年賀状の一言コメントをボールペンで書くことはマナー違反にはなりませんが、上司や目上の方へ送る際は、なるべく筆ペンなどを使って書けるようにしたいですね。今年は毛筆や筆ペンで書く勇気がなく、ボールペンで書いた人も、次回は是非挑戦してみてはいかがでしょうか。

年賀状だけではなく、ビジネスや引っ越しなどで挨拶状を書くことは、今後あるかと思います。そういった際に使い慣れたボールペンではなく、毛筆や筆ペンを使って書けるようになっておくと気持ちも伝わりやすく、受け取った側の印象も大きく変わるのではないでしょうか。

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